石のさかい 公式コラム
石工の独り言|残るということ
2026-10-02
カテゴリ:五代目店主の視点
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残したものは 本当に残るのだろうか

残そうと思っても
残らないものがある
残そうと思わなくても
残るものもある
残るものもある
人は いろいろなものに記録してきた
木に
粘土に
紙に
粘土に
紙に
そして 石に
今は
目には見えないところにも
膨大な記録を残している
目には見えないところにも
膨大な記録を残している
写真も
言葉も
声も
言葉も
声も
残せるようになった
でも
電気がなくなったら
見るための機械がなくなったら
読むための仕組みが
なくなったら
そこに記録はあっても
見ることができるのだろうか
見ることができるのだろうか
石は違う
そこにある
電気はいらない
機械もいらない
人の目があれば
見ることができる
見ることができる
だから人は
石に刻んだのだろうか
石に刻んだのだろうか
百年
数百年
数百年
千年
二千年
二千年
人が入れ替わっても
石はそこに残る
石はそこに残る
石工としては
石ほど
残すことに向いたものはない
そう言いたくなる
でも
古い石を見ていると
そう簡単でもない
そう簡単でもない
石は残っている
文字も残っている
それなのに
誰が刻んだのか
なぜ刻んだのか
何を伝えようとしたのか
分からない
見ることと
分かることは違う
分かることは違う
今 私たちが刻んだ文字を
千年後
二千年後の人は
二千年後の人は
読むことができるのだろうか
石が残っても
文字が残っても
言葉が
受け継がれなければ
そこにおさめた想いは
届かないまま
そこにいる
そこにいる
言葉でさえ
受け継がれないことがある
受け継がれないことがある
残すこと
残ること
伝わること
同じようで
どうも違う
どうも違う
石は 何も言わない
ただ
そこにいる
そこにいる
受け取ろうとする人がいて
初めて
伝わるものもあるのだろうか
伝わるものもあるのだろうか