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石のさかい 公式コラム

初代の名に、省けなかった理由。
2026-02-10
カテゴリ:五代目店主の視点
オススメ重要
生い立ちの中に残っていたもの
古い記録を辿っていると、
初代の名が、やけに長く残されていることに気づきます。

酒井 勝之助 正義。
そして、嘉平という名。

どれか一つにまとめてもよかったはずです。
省略することも、簡略化することも、できた時代でした。

それでも、そのまま残された。
そこに、理由がなかったとは思えません。
名は、立場や覚悟を背負うものだった
名は、呼びやすさのためだけにあるものではありませんでした。

立場が変われば名が変わり、
背負うものが増えれば、名も増える。

一つひとつの名は、
その時々の責任と、引き受けた役割の証だったのだと思います。

省くという選択肢がなかったのではなく、
省けなかったのだと感じます。
省くことができなかった理由
なぜ、省けなかったのか。
それは、形ではなく、中身の問題だったのだと思います。

一度引き受けたものを、
途中で軽く扱わない。

名前を残すという行為は、
その生き方を、後ろからでも支え続けることだったのかもしれません。
引き返せないという感覚
石の仕事は、途中でやり直すことができません。

基礎。
据え方。
納まり。

完成すれば見えなくなる部分ほど、
最初に決まってしまいます。

あとから誤魔化すことができない仕事だからこそ、
引き返せないという感覚が、自然と身につく。

初代の名に省けなかった理由と、
この感覚は、どこかでつながっているように思えます。
代が変わっても、残るもの
時代が変わり、
仕事の内容が変わっても、
省けないものは残ります。

早く済ませることよりも、
きちんと残すこと。

説明を省くより、
時間をかけること。

それは特別なことではなく、
ただ、そうしてきただけです。
名が教えてくれること
初代の名は、
今も変わらず、記録の中に残っています。

それは、誇るためでも、
語るためでもなく、

省いてはいけないものがある
という感覚を、静かに伝えているように思います。

この仕事に向き合うとき、
その感覚だけは、今も変わりません。
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